夏場の繁殖

冬場繁殖がうまくいってた魚が夏場になると全くとれなくなってしまうという現象についてちょっと書いてみます。これはエンゼルの項でも書きましたように、夏場の水道水への塩素投入量増加が最大の原因だと考えられます。

もう15年以上も前のことなのですが、冬から春にかけて順調にいってたエンゼルの繁殖が梅雨の頃からうまくいかなくなってしまったのです。前と同じようにふ化はするのですが、動きが弱いんです。どうもおかしいなあと思いながらついに泳ぎ出す日がやってきましたが、だめなんです、泳げないんです。そして死んでいくのです。しかしながら、大丈夫な魚もいました、例えばスマトラやダニオ、アカヒレなんかは全く関係なくとれていたと思います。

トリハロメタン説

夏場とれなくなる原因がどうしてトリハロメタンだと思うようになったのか少し書いてみます。
私を含めて殆どの人が熱帯魚飼育には水道水を使います。この水道水というものは浄水場で
塩素処理がなされています。この時、塩素と水中のゴミや有機物が結びついてトリハロメタンが発生します。このことは誰もが知ってることなのですが、重要なのはこのトリハロメタンの量です。これが発生する化学反応は水の温度が高い程活発に行なわれるとのことですので、原水が河川や湖の場合、夏場は温度が上がりますのでトリハロメタンはたくさんできてしまいます。
更に梅雨の頃から水はにごりが激しくなりますので塩素の投入量を増やすそうです。(これは水道局に行って直接お聞きしましたので間違いありません)これにより、更にトリハロメタンは増加します。本に書いてあったのですが、夏場のトリハロメタンの量は冬場に比べて3〜4倍も検出されるそうです。
抵抗力のある親魚達にとっては耐えられる量かも知れませんが、ふ化したてのちっちゃい仔魚達にとっては非常にきついのだと思います。
このトリハロメタンの量は地域によってかなり違うのではないでしょうか。例えば原水が
地下水の場合ですと、夏場の温度上昇が余りないでしょうし、有機物の面から考えても河川に比べるとトリハロメタンの発生量はかなり少ないと思います。私の住んでます地域は原水が木曽川の水ですので夏場のトリハロメタンの量はそりゃあもう悲しいかな、たっぷりです。

結合残留塩素説

この結合残留塩素というのも結局は夏場の塩素投入量増加が原因で増えるものですので考え方は似たようなものなんですが....。
水道水の消毒には通常次亜塩素酸(HClO)化合物が用いられます。HClO或いはその塩類を「遊離残留塩素」と呼びます。そしてこれらの遊離残留塩素が窒素化合物と反応してできたNHCl(モノクロルアミン)、NHCl2(ジクロルアミン)を「結合残留塩素」と言います。夏場は塩素の投入量が増え、窒素化合物の量も多くなりますので結合残留塩素の量が多くなります。遊離残留塩素は簡単に除去できるのですが、結合残留塩素の方はなかなか除去できないようです。
そして除去したつもりの塩素も結合残留塩素の形で残っていて、それが徐々に分解され遊離残留塩素のHClOを放出、それにより仔魚がやられてしまうのではないのかという考え方も成り立つと思います。

それじゃあエンゼルとかディスカスの繁殖が夏場うまくいかない地域の人間はどうすればいいの?夏場はあきらめることです。そんなのだめー。では井戸水を分けてもらう方法があります。実際私はこの方法で去年の夏、アピスト達の繁殖をやっていました。

ところで先日新聞に出ていたのですが、原水の汚れが特にひどい東京や大阪では高度浄水処理施設を導入する地域が増えているそうです。これはオゾン処理活性炭処理等を通常の浄水処理に追加して行なう方法で、これによりカビ臭やトリハロメタンなどの有害物質が取り除かれるそうです。

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